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ピラティスの真髄

  • 執筆者の写真: MARY
    MARY
  • 2 日前
  • 読了時間: 7分

みなさまこんにちは、講師のMARYです。


今日は「ピラティスを極めていった先に何があるのか」「ピラティスとは何なのか」私なりに感じていることを、綴りたいと思います。


私がピラティスを初めて体験した時は、今ほど本格的なピラティスは世の中に広まっていなくて、ピラティスを認識している人は一部の人たち。その人たちでさえも「ヨガのようなもの」と勘違いしている、まだそんな頃でした。今から16〜7年くらい前かと思います。


もちろんその頃もマシンを輸入している人はいましたし、本格的にやっている方々もいたと思いますが、一般的な認知度はまだまだ低いものでした。


それがここ数年で、一気に世の中にピラティスが広まった印象で、今では普段運動をしない人でも、一度は名前を聞いたことがあるというレベルになっていますが、いまだに「ピラティスって何?」「ヨガと何が違うの?」そんな声を耳にします。広く知られるようになった一方で、その本質を理解している人は、まだまだ多くないのかもしれません。


それもそうかな、と思うところがあります。

流行るにはシンプルで伝わりやすいイメージが必要ですが、実際のピラティスはとても知的なエクササイズです。(お気づきでしたでしょうか、実はスタジオのマシンにも Intelligent exercise というワードがプリントされているんです)


学ぶほどに奥が深く、気づきがある、一つの学問という位置付けで定義されているので、一言で伝えられるような単純なものではないのです。何年も実践を重ねる中でその理解が徐々に深まっていき、そして理解できたと思っても、まだまだその奥深さに驚かされるのです。


その奥深さについて、私が一つ表現するとすれば、それはピラティスが人間の「生きる」という営みそのものを徹底的に追求しているからではないかと思っています。


考えてみてください。

私たちは生まれた瞬間から、生きることをほとんど自動で行っています。意識しなくてもすべてが進んでいきます。最初のどこかでは確かに「意識的な努力」はあったはずですが、気づいた時にはすでに歩けるようになり、物をつかめるようになり、自分の意思どおりに身体を動かせるようになっています。


もっと以前では、生まれた瞬間から勝手に呼吸をしています。 自然に息を吐き、自然に息を吸う。

身体を動かすことも、生命を維持することも、ほとんど無意識のまま進んでいきます。


子どもの頃は成長の過程で体に変化があるので、まだ意識が向きやすいですが、年齢を重ねるにつれてどんどん体から意識は遠のいていきます。そして「体を意識しない」が進行していくと、意識していなかったところは徐々に感覚が失われていくのです。


「Use it or lose it(使わなければ失われる)」


脳はエネルギー効率を最適化するため、使われない神経回路(シナプス)を切り捨てる性質があります。


体を無意識で動かし生きてきて、わざわざ細部のコントロールなど意識しない。意識しないということはその部分への指示を伝える神経回路は使っていないということ。使われない神経回路は切断される。そして結果的には意識しないでいた部分は自分の体なのにも関わらず、自由に動かすことができなくなっている。


大袈裟に聞こえるかもしれませんが、特別なことではなく誰にでもあることなのです。


ピラティスがアプローチしていけるのは、ここなのです。


他の運動で、例えば「足の小指の関節の間だけを縮めるように意識する」なんてこと、ありますか?ピラティスではそういった細部まで意識してもらうように指示することがありますが、他ではきっとあり得ないですよね。


それくらい部分的に意識することで、切り捨てられた神経回路を再接続し、再度コントロールできるようになる作業を行う。その時、体の中で起こることは、赤ちゃんの時の発育の過程に近いものがあるのではないかと思うのです。

生まれてから自動的に行われてきた、生きていくための体作りが、部分ごとに改めて体の中で行われていく。


そうするなかでは、呼吸を内部から感じ、筋肉を感じ、骨を感じ、それらのつながりを部分的にも全体的にも感じて、体を内側から感覚的に捉えていくようになります。


それは「自分」を捉え直す作業というか。認識して、意識して、そしてコントロールを「取り戻す」。自分の意思で思い通りに動かすことができる「自由」を今一度手にして、そして「自分の人生に戻る」。その繰り返しを行なっているように思えます。


ピラティス考案者であるジョセフ・H・ピラティス氏の著書『Return to Life Through Contrology』においても「人生を取り戻す」と表現しており、「まさにその通りなんだよなぁ」といつも思いながら指導をしています。


※「Contrology=コントロロジー」:

ピラティス氏は当初、一連の体系化した呼吸法・運動法に「コントロロジー」と名付けました。身体をただ反射的に動かすのではなく、自分の意識や意志で完全にコントロールし、強い肉体と精神を手に入れるための「コントロールのための学問」として名付けた造語です。教え子たちから「アンクル・ジョー」と呼ばれて親しまれていたようで、のちに「ピラティス」の方が浸透していったようです。




「意識して、肉体的な感覚を取り戻す、より快適になる」――それだけではないです。


「体を内側から意識をする」というのは、とても難しいことです。

鏡で自分の姿を見て正しいアライメント(骨格の配置)を作ることよりも、鏡を見ず正確に再現する方が、はるかに難しい。ミリ単位で内部から位置、距離、角度を認識して、その誤差を調整する。研ぎ澄まされた集中力と感覚が必要になりますよね。


そのためには、他のことを考える余裕はありません。

集中のあまり、動きの指示が聞こえても聞き逃すこともありますよね。

いいのです。むしろ、それくらい感覚に没頭してください。


それは、単に呼吸に集中する瞑想よりも、より深い瞑想となります。

他のことを考える余地がなく、自分の内側一点に集中するということは、深い「アウェアネス(気づき)」の時間となります。自分自身との接続を強めるというのは、体の中や神経だけに起きていることではなく、心・精神と肉体の繋がりも強めているということなのです。


ピラティスを終えたあと、体や心が軽やかになる感覚と同時に、「自分の足で自分の道を歩いている」という感覚になることはありませんか?


「自分らしさ」を感じられたり、思考がクリアになって直感的に思うことがあったり。なにかアイデアが浮かんで、実際に行動まで繋げられる活力が湧いたり。

体の自由を手に入れて、心・精神との繋がりも深まり、「自分らしく生きる」に戻れる感覚。


私にとってピラティスは、その循環を何度も繰り返す時間で、地に足をつけるグラウンディングの時間です。

「自分は今ここにいる、生きている」、「よし、頑張ろう!^^」と。



体の細部はどこまででも細かく捉えることができ、私自身も自分の体に今でも発見があります。


本格的にピラティスを実践し始めて1〜2年ほど経った頃に感じていたことは、「健康的で崩れにくい姿勢になった、筋力の均整が取れ、痛みや不自由のない体で、より広い可動域を手に入れられた」という感覚でしたが、10年近く経ってきて、その頃よりももっと「本来の自分の体を手に入れた」という感覚が強くなりました。何をしていても自分の体がどうなっているのか細部を認識しコントロールできているのです。


「自分で自分の体をちゃんと使って生活している」という感じです。(その感覚は以前も当然持っていましたが、振り返るとそれは完全ではありませんでした)


「まだこんなに動くんだったんだなぁ、可能性があったんだなぁ」と、今でも思うことがあるのです。


それまで実践してきた他の運動では超えられなかった領域に来ている気がしていますし、それだけでなく、まだまだ続きがあるのかもしれません。


それに体を内部から深く理解すると、自分のことをさらに大切にするようにもなりました。


ただ健康的になるだけじゃなくて、

気づきを得て、自分の体で自分の意思で、自分らしく、強く自由に生きていく感覚になる。

ピラティス氏の言葉を借りれば、「人生を取り戻す」。

そんなふうに感じられるのが「ピラティス」ですよと、私はお伝えしたいです。



今後も、ピラティスの深いお話を皆さんと共有できたら嬉しいです。



<ピラティスとリハビリテーション>

ピラティスが誕生した背景にあるのは、戦争中に捕虜となった負傷兵のリハビリテーションです。(現在のピラティスマシンの原型もこの時期に生まれました。)戦後、ピラティス氏はアメリカへ渡り、ブロードウェイのダンサーやアスリート、パフォーマーたちのリハビリテーションにおいて絶大な信頼を得ていきました。


「人生を取り戻す」

ピラティス氏の人生や、彼が指導していた現場や、その日々で抱かれていた思いを想像すると、この言葉は、とても意味深いものに感じられますね。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。




*マシンに印字された、Merrithew社(STOTT PILATES®)のスローガン:

「leaders in mindful movement」「Intelligent exercise. Exceptional equipment.」





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